情報発信

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2023.06.23   情報発信

副業の労働時間のポイント

はじめに

最近の働き方改革の中では、柔軟な働き方の一つとして副業や兼業が容認される傾向があります。これまでの「一度入社したら定年まで勤めること」という日本的な終身雇用制度から考えると、大きな変化ですが、時代の変遷に合わせて、副業や兼業を許容する風潮がますます進んでいくことが予想されます。

一方で、労働基準法や他の労働関係法は、本来的には副業や兼業を前提としていないため、既存の法律をそのまま当てはめることには困難が伴います。ですから、現時点では、本業と副業の労働時間管理に関して、いくつかの注意点が存在します。以下では、現時点での注意点について解説いたします。

労働時間の通算

労働基準法第38条第1項には、「労働時間は、異なる職場においても、労働時間に関する規定の適用については合算する」という規定があります。要するに、自社の労働時間と副業による労働時間を合算し、法定労働時間と割増賃金について考慮しなければなりません。

割増賃金はどちらが負担をするのか

法定労働時間を超える労働をした部分については、25%以上の割増賃金を支払う必要がありますが、副業による労働時間を合算した場合、「どちらの会社が割増賃金を負担するか」という問題が生じます。

①所定労働時間の通算ルール

まず、各企業の「定められた労働時間」については、基本的には「労働契約を後から結んだ方の企業が割増賃金を負担する」という規則に従います。このルールに基づいて、労働時間と割増賃金の取り扱いが決まります。

②所定外労働時間の通算ルール

一方で、予め定められた労働時間を超える「予定外の労働時間」(つまり、各企業における定められた労働時間を越えて働いた時間)については、日々の労働時間が順番に合算されるというルールが適用されます。たとえば、企業Aと企業Bのパート勤務で所定労働時間が3時間であり、それぞれが2時間の残業を行った場合、以下の図のように、企業Aが割増賃金の負担をすることになります。

③「管理モデル」ルール

前述の①②が分かりにくいということから、簡単な管理方法として「管理モデル」というガイドラインが厚生労働省から提案されています。管理モデルとは、本業(最初に契約を結んだ職場)の残業時間に副業の全労働時間を合算し、それに上限を設定して各企業がその範囲内で働かせる方法です。この方法は手軽な一方で、副業の職場が割増賃金の負担を増やすという課題があります。

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