はじめに
働き方改革の動きの中で、働く時間だけでなく年次有給休暇にも注目が集まるようになりました。しかし、パートやアルバイトの方々に対する有給休暇の取り扱いはまだ整備されていない企業も多く存在します。最近では、労働基準監督署の調査で、有給休暇に関する問題が増えているようです。そのため、この記事では、パートタイムやアルバイトの方々に関する年次有給休暇のポイントについて解説します。
比例付与
パートやアルバイトの方にも当然に年次有給休暇を取得する権利がありますが、その付与日数は通常の従業員と比べて少なくなることがあります。所定の労働日数によって、有給休暇の日数が調整されることを「比例付与」と呼びます。
一般的な正規従業員との違いについて、以下に詳しく説明します。
【年次有給休暇比例付与一覧表※】
週所定日
数 |
金属年数(年) | ||||||
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 | |
通常 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
4日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
1日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
※比例付与の対象となるのは、週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の場合
※週以外の期間によって労働日数が定められている場合、以下のとおり年間の所定労働日数をもとに区分する。
169日~216日 | 121日~168日 | 73日~120日 | 48日~72日 |
週4日扱い | 週3日扱い | 週2日扱い | 週1日扱い |
有給休暇を取得した日の賃金計算
月給の労働者の場合、年次有給休暇を取得した際には「月ごとの固定給を削減しない」方法で計算が行われます。しかし、時間給や日給で支払われることが一般的なパートやアルバイトの場合、その計算はややこしいこととなることがあります。特に時給制のパートやアルバイトが有給休暇を取得した場合の賃金計算には、以下の3つの選択肢があります。
【1.休暇を取得した日の所定労働時間×時給】
まず初めに、この方法が一般的と言えます。労働条件通知書やシフトなどで定められているその日の労働時間に基づいて、その労働者の所定労働時間分の賃金計算を行います。
【2.社会保険の標準報酬日額】
労働者と雇用主の合意により、労使協定を結ぶことで、有給休暇1日分の計算に社会保険の標準報酬日額を利用することが可能です。ここで言う標準報酬日額とは、標準報酬月額を30で割った金額を指します。
【3.平均賃金】
前述の方法以外にも、労働基準法の規定に従って平均賃金を使うことが可能です。平均賃金の計算方法は、次の式の中から、より高い方を選びます。
①有休取得をした賃金計算期間の前3ヶ月の総賃金÷同3ヶ月の総暦日数
② 有休取得をした賃金計算期間の前3ヶ月の総賃金÷同3ヶ月の総労働日数×60% |
この平均賃金は、他の計算方法に比べて金額が一般に低くなることがしばしばですが、パートなどの有給休暇の賃金を抑制する意図でのみ平均賃金計算を採用することは、公平性の観点から見て問題が生じる可能性があります。